みなさん、こんにちは。日本です。
本日はフランスさんのお宅で開かれている会議に参加しています。
いつものようにアメリカさんが無茶な提案をして、それにイギリスさんが反対して、お二人にフランスさんが反対し
て、ロシアさんがバルト三国の方々にプレッシャーをかけて、中国さんがお菓子を勧めて、ギリシャさんがお昼寝
を始めて、スペインさんが内職をして、最終的にドイツさんが何とか本題に戻すという一連の流れを経て、今は休
憩時間です。
皆さんも各々好きなことをなされているようです。
例えばほら、向こうにアメリカさんとイギリスさんが。遠すぎて声は聞こえませんね、何か言い争っているようです
から、先ほどの会議のことをイギリスさんがたしなめているのでしょう。
よく見れば怒っているのはイギリスさんだけのようですし。
アメリカさんの方は怒るイギリスさんを無視してドーナツを食べています。
ああ、アメリカさん。あれほど会話の際の飲食は失礼だと云いましたのに。
だいたいこの会議場、飲食禁止のはずなのに……そう言えば中国さんもお菓子を持ち込んでいましたね。どうな
ってるんでしょう、まったく。
あ、アメリカさんが持ち込んだドーナツが無くなってしまったようです。
あれだけあったものがなくなってしまうんですね……。
アメリカさん、あなたの悩んでいるその腹部の一因を垣間見た気がします。
どうやらアメリカさんはイギリスさんにスコーンをねだることにしたようですね。
『おい、イギリス、君何か食べるもの持ってないかい?』
『はぁ?お前まだ食うつもりかよ。そんなんだから太るんだ』
『なっ、君には関係ないだろ。それより、本当に何も持ってないのかい?なぁ、イーギーリース』
『仕方ねえなあ。そこまで言うなら今朝焼いたスコーンがあるから……』
『君ねぇ、まだそれをスコーンだって言い張るのかい?どっからどう見たって炭じゃないか。しかも、それいつも持
ち歩いてるのかい?』
『ばっ、たまたまだ、ばかぁ! お前が何かないかっていうからやったのに……いらねぇなら返せよ!』
『別にいらないなんて言ってないだろ。他に食べるものもないし、仕方ないから食べてあげるよ』
と、こんな感じの会話でもしてるんでしょう。あくまで、彼らの身振り手振りと経験から考えた私の妄想ですが。
それにしても、イギリスさんのスコーン……
なんというか、その、とても……ええ、なんといえばいいんでしょう、なにやら、独特……といいますか、その、え
えとですね……ああ、八つ橋に包みきれないんですがどうしましょう。
アメリカさん達の会話が聞こえないくらい離れているはずなのに、がりがりとスコーンを食べる音がここまで……
話によると食べ慣れているそうですが……やはりアメリカさんの胃袋が心配です。
後で正露丸でもお渡しすることにしましょう。以前渡した時も喜んでいただけましたし。
まあ、あれもイギリスさんへのあてつけなんでしょうね。
スコーンを食べつつ文句でも言っているのか、イギリスさんが涙目になって行きます。
そんなに嫌なら食べなければいいのにとは思うのですが、言ったところで食べるんでしょうね。
イギリスさんには失礼ですが、あのああいった食べ物を食べて平気なんて……愛の力は偉大です。
それでも口では素直に言えないようで、
『スコーンて本来サクサクしているものじゃなかったかな。これサクサク通り越してザクザクなんだぞ。しかもなん
か渋いし。君はこんなの渡される側にもなってみるべきなんだぞ。昔っから何度も作ってるのに、ここまで上達し
ないってのもある意味才能だと思わないかい?』
なんてことを言う声が聞こえるようです。
素直に自分以外に作らないでほしいと云えば万事解決ですのに、ずいぶんと回りくどいことをなさるんですね、ま
ったくこれだからツンデレは。
ああ、うつむいたイギリスさんの肩が震えています。
そろそろ「あれ」が来るころですね。
『なら食うなよ
「なら食うなよ、ばかぁ!」
会場にイギリスさんの声が響き渡ります。ああ、出て行かれてしまいました。
アメリカさん、そこは追いかけますよね。ね。
よもやそこまでKYではないでしょう?
さあ!早く!!
じじいの願いが通じたのか、アメリカさんがイギリスさんの背を追いかけて行きました。
イギリスさんは公の場で走るような人ではありませんから、きっとすぐに追いつくでしょう。
早くその背中に抱きついてやりなさい。
些細な事でけんかして、素直になれないばかりにこじらせて、和解までの紆余曲折に周囲を巻き込んで、結局
はあるべき形に収まってしまう…………それでこその米英です!
「あの―日本?」
おや、フランスさん。どうかなされましたか。
「さっきからすごい勢いで何か書いてるけどそれって……」
ネタ帳ですよ。この度ハンガリーさんと合同誌を出すことになりまして。彼女もとてもすばらしい作品をお書きにな
るので、こちらも見劣りしないものを用意しなくてはなりませんから。
このじじい、まだまだ若い方々には負けませんよ!
「あ、ああ、そうなの……」
フランスさんが頬をひきつらせます。
あなた、それでも自称愛の国ですか?この胸の奥底から湧きあがる衝動を理解できないなんて!
「日本、八つ橋八つ橋」
そんなもの、イギリスさんのスコーンで使い切ってしまいましたよ。
「そう……出来るだけ早く補給して……」
善処します。ところで、私に何か御用でしたでしょうか。
「あいつらああなるとなかなか帰ってこないから、もう会議も解散にしようって」
そうですか。わざわざありがとうございました。
では、私はこれにれ失礼しますね。
「おう。日本もたまには公用以外で俺の家に遊びに来てね」
ええ、よろこんで。
まあ、すべては脱稿してからですが……
さあ、早く帰って原稿の続きに取り掛かるとしましょう
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受けとか攻めとか超越した存在 (07/01)